ふたりブログ

毎回とあるテーマでつづります

長崎旅行

テーマ【港】

 

 8月、長崎旅行に行ってきた。一人で4泊5日、めぼしい観光地はほぼ網羅したと思うが、一番印象に残ったのは長崎港と出島だった。

 最近自覚して、きっかけもよく覚えていないが、港が好きだ。大海原と水平線に雄大な印象を受けるというのもあるし、造船所、漁船、客船、貨物船、波止場と碇を受ける杭なんかは、浜辺にはない、産業と生活の気配を感じられる。たぶん、広い世界への出発点でもあり、帰る場所でもあるという情緒的な意味と、そこで働いて、生活している人たちの、なんとなくせわしない雰囲気が好きなんだろうと思う。少し似ているところで言うと、空港のごった返した雰囲気も嫌いじゃない。どこかへ行く人、帰る人が集まる場所。

 長崎港は上に挙げた情緒的な意味において、日本有数の港のようだ。鎖国時代、唯一国外と繋がっていた、日本の知識人にとっては世界との結合点、オランダ商人にとっては、祖国とは別のもう一つの家。そこで生活していた人たちの様子は、観光地として復元された(正確には現在も復元中(» 出島復元プロジェクト))出島で観ることができる。

 頭が固いもので、"オリジナル"だとか"当時の~"という言葉に弱く、反対に"近代になってから復元しました"という言葉のせいで期待できなかったが、これが間違い。みてくれが感動できるほど素晴らしいという訳ではないが、船頭の家、商館、蔵、料理場などがきれいに再現されていて、それぞれの部屋や小物に丁寧な解説がついて楽しめる。

 感動したのは、オランダ人は日本を、日本人はオランダを学ぼうと必死だったこと。なにせ鎖国中なので外国人に許される自由は限られているし、日本人にしてみても、西洋の知識を入手する窓口が国に一つしかない。そんな中で、入国者側では有名なシーボルトも含む出島三学者と呼ばれた人がいて、日本の植物などを採取・研究したそう。また、当時の日本知識人は、どこの出身でもみな"長崎に遊学"することが多かったようだ。

 というわけで日本近代化の礎となった町、長崎を楽しんできた。出島と港を観るだけなら5日もいらないので、皆様も是非。

 

2019.09.07 T.N.