猫の目
テーマ【猫】
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬが、いつの頃からか我輩はこの家を自分の住家と極め、出来得る限り主人の傍にいる事をつとめた。
元来この主人は何といって人に勝れて出来る事もないが、何にでもよく手を出したがる。ラジオを聴いて番組へ投書をしたり、間違いだらけのモンゴル語をかいたり、時によると料理に凝ったり、サッカーを教えたり、またあるときはウクレレなどをブーブー鳴らしたりするが、気の毒な事には、どれもこれも物になっておらん。その癖やり出すと飽き性の癖に一瞬だけいやに熱心だ。
この主人がある月のプレミアムフライデーに、どこをどう歩行いたものか、その晩友人を連れて遅く帰って来た。この友人と夜な夜な語り合い、どういう考になったものか『ブログを一緒に書こう』と決めた。その日から主人は自分のパソコンと、テーマである【8月】のカレンダーとにらめっこしながら3日書けて短文を書き上げた。その日、友人に電話で下のような話をしているのを聞いた。
『テーマ【】って書き出しにはこだわった。とりあえずペンネームもつくったけど、いらない場合は消していいよ。』これは主人の述懐である。形式にこだわるのもいいが、それよりも内容を精査すべきだ。
もっとも、元来人間というものは自己の力量に慢じてみんな増長している。少しいじめてやらなくては、この主人もこの先どこまで増長するか分らない。」
あいにく私は猫を飼っていないし、そもそも猫アレルギー持ちである。しかし、漱石の猫には自分の内面に住み着いてもらった方がいいかもしれない。背筋を正すことで猫背も改善されそうだし、愛着が湧いた頃には名前でもつけようか。
2017.09.10 T.Y.
次回はテーマ【コーヒー】